生涯賃金

生涯賃金 · 20日 2月 2022
          産後パパ育休新設などを盛り込んだ4月1日施行の改正育児介護休業法に関し、東京労働局による「改正育児・介護休業法オンライン!説明会」を視聴してみた。全体として、改正趣旨・内容を理解する上で参考になる内容だったが、筆者にとって若干の違和感を覚えたのは、後半部分で紹介された生涯賃金についての何枚かのスライドの説明であった。 筆者なりに要約すれば、大卒男性が入社して定年まで働けば右肩上がりの賃金を享受できるのに、女性社員が出産を機に一旦退職し、子育てが一段落してからパート等で職業生活に復帰すると生涯賃金は大幅に目減りする・・・しかし、育児休業を取得することにより退職を避ければ、男性社員が受ける生涯賃金に概ね相当する水準が期待できる(だから育児休業を活用しましょう!)・・・ということになる。 年功賃金制度が今後も日本の賃金制度のメインストリームとして継続すると仮定すれば、以上の説明は正しい示唆である。だが、ジョブ型雇用の考え方を入れた「仕事給」などが徐々に増えていくものと予想すれば、年功賃金カーブ自体が崩れていく。2021年4月から施行されている「働き方改革関連法」では、正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差を禁止しており、各社でこのような取り組みが進んで行けば時間はかかるにしても、賃金格差は縮小していくものと思われる。 余談になるが、キャリア官僚のゴールである次官就任が、相変わらず入省年次にこだわって運用されているところをみると、年功的処遇制度がもっとも堅持されているのは国家公務員であることが想起され、このような説明資料を作成するのもうなづけるところである。 https://lnkd.in/gMvAHSux #改正育児介護休業法 #生涯賃金 #日本的雇用システム #同一労働同一賃金 #年功賃金