「政府は15日、首相官邸で新しい資本主義実現会議(議長・岸田首相)を開き、賃金が持続的に上がる社会に向けた仕組みづくりの議論を始めた。」(2月16日読売新聞)
リスキリング(学び直し)、日本型のジョブ型雇用、成長分野への転職を三位一体で進めることが主な論点の一つとされている。
「日本型のジョブ型雇用」など、意味が判然としないものもあるが、閉塞感の漂う現状を変えようという姿勢は理解でき、今後の推移を見守りたい。
ところで日本の労働力の3割を占める中高齢者(55歳以上)にも、本施策は打開策となるだろうか?
60歳定年後の再雇用をする会社には、定年を機に賃金水準を下げるところが多く、相場観としては3割ダウンは珍しくもなく、4割から6割下がるところもあるようである。(経営目線での)下げる理屈としては、①高くなりすぎた年功賃金を市場相場水準に引き戻す、②役職定年を含む業務や責任範囲の縮小などがあるが、①は本人には納得しにくいであろう。かくして60歳以降の再雇用者の中には下がったモチベーションと目の前の仕事の折り合いをつけながら悶々と日々を過ごす向きも出てくる。
しかし、40代(遅くとも50代前半)からリスキリングを行い、定年後の処遇ダウンに備えて準備をしておけば、リスキリングによって上がった市場価値を武器に賃金アップになる転職をすることも不可能ではないであろう。そのためには、(政府の期待するように)転職が当たり前の労働市場になることが前提となるが、成長意欲を持ち続ける中高年齢者にとってもチャンスが訪れることを願う。
注:図は、筆者の作成したイメージであり、個々の数字に特段の意味はない。